【♀】【!】無題
なんかこう…おめめがイっちゃってるゾクゾクキまくっちゃってるバクラのどアップが見たいんだけど…こう…ぬしを組み伏せた時の…やっべえやつ…いや脳内にはあるんだけど視覚としてさあ…よゆうないやつ…よゆうにゅうこう…
って言ったらえろいバクラを半田さんがくれたのでアザーーーーーース!!!
明らかに異常な事態だ。
と、頭の隅に一ミリだけ残っていた理性がそう呟いて、その後すぐに霧散した。目の玉が充血したように世界が赤く感じる。その中で了の白い肌だけが嫌に艶めかしく鮮明に映るものだから、際立ったその皮膚の色と透かす血液の色にさえ喉が鳴ってまた乾く。
五感が遠のき、こめかみの心音はうるさいくらいに激しく、遠くでどうしたのだとかおまえへんだよだとか、掠れた声が訴えてくるのがくすぐったい。肉体全てと感覚全てが性感帯になったかのような、恐ろしいほどの高揚感だった。わけもない愉悦が込み上げて、吐き出した吐息が焼ける温度で了の耳朶を炙る。クリーム色をしたシーツの上で髪を散らばせた了の、紅茶色の瞳に宿る憐れなほどの戸惑いすら、背中を駆け上がる快感に変わった。
「どうもしねェよ、なァ」
いつものオレ様じゃねえか――自分の声さえ遠かった。バクラは興奮で震えそうになる指で、出来る限り温く頬を辿ったが、その温度と上ずった声に、了はひ、と小さな悲鳴を上げた。ひと掴みできる細い腿をこすりあわせて縮こまるのは、本能からくる恐怖感か。何をされるか、これからどうなるか、身体の方が先に理解している。あと一分、もしかしたら数秒。つぎに口を開いた時に出てくるのが言葉ではなく牙だったとしてもおかしくない。
ただの性欲ではこうはならない。自覚している。多分これが愛情なのだ。目の前のやわい肉を暴いてその内臓の奥の奥で種を吐き出したいと衝動が込み上げるのは、単純な肉欲だけが理由ではない。ぐるぐると煮詰まったどうにもならない愛欲が欲望と混ざり合って、結果、こうなっている。
「オレ様がこんなにたまんねェんだ、お前だってそうだろう」
「あ、ぼ、ボクは」
「わかってる、わーかってるって、宿主――言わなくても」
全部分かっている。怯えているのは頭がおいついていないからだ。ひと噛みでその壁を越えさせる自信がある。滑らかな肌に噛み付いて、熱い舌でべろりと首筋を舐め上げて、蒸れた溜息を吹きかけてやれば、嫌でもこの身体は開く。熱した鉄の上に落としたバターのように、舌と皮膚の間で快感が蕩けて浸み込んで、あとはもう、お互いにきっと為す術もない。
「問答はやめようぜ。それこそ言わなくたって分かンだろ」
はちきれそうな熱がジーンズの中で暴れている。分厚い布に覆われてもそうと分かるほど膨らんだ雄を、バクラは了の細い腰に押し付ける。びく、と震えてから視線が下を向き、肉の薄い腰骨のあたりに無遠慮にこすり付けられた熱のありかを伺った。二度目の喉の奥の悲鳴。怯えるくらいに暴発寸前の性欲に、了の瞳が戸惑いよりも困惑と、そして、疼きの色に染まるのを見逃さない。
「可哀相だろ、こんなんなっちまったオレ様をどうにかしてくれよ」
薄い喉がこくんと喉を鳴らすのが、いい合図だった。
「っバクラ、」
「なァ、いいよな、いいだろ、宿主サマ、言えよ、イイって」
普段、こんな風に了承を求めることなどしない。だが今は言わせたかった。したいと、欲しいと、自分と同じくらいに興奮して乾いた唇から言葉がこぼれるのが聞きたい。言質を取るなんてまどろっこしい意味合いでなく、その言葉が欲しい。
「宿主」
「ッ、あ」
思わず耳朶を噛んでいた。生ぬるさを通り越して熱い舌、その尖らせた先で耳孔を探る。触れた肌を冷たく感じないのは、熱くなっているのが最早バクラだけではないからだ。
牙にものを言わせる必要すらなかった。
せり上がる熱が笑みの形を作らせた、唇と蛇の舌先で了が陥落したことをバクラは知った。背中に這い上がった細い指が震えて、応じる形に縋りついてくる。瞬間、尾骨の辺りで不穏に膨らんだ熱に背筋が反りそうだ。
甘ったるい吐息を吐き出して、了は唇を舐めて、言う。
「……ぃ、よ」
「聞こえねェ。ハッキリ言え」
「だから、ぁ、っ……いい、って、ば……!」
してよ、と。
小さな悲鳴と共に、蛮行の仕返しか、乾いて舐めて濡れた唇に耳の端を齧られる。吹き込まれる熱に心臓すら痛い。興奮で死にそうだ。
とどめに切羽詰った動きで足の間の熱におなじ熱を押し付けられた。尾骨に生じた熱がものすごい速さで背骨をぞくぞくと駆け上がり、脳にまで達した瞬間に、
――あとはもう、頭の中は真っ白だ。