【同人再録】たぶん人生は上々だ。B-3【R18】

3.

 テレビもつけない静かなリビングに、時計が勤勉に働くこちこちという音が響いている。
 壁時計とテレビの間の空白あたりに視線を向けて、しかしそこを注視しているわけでもなくぼんやりとした顔で獏良は過ぎる時間をただ過ごしていた。
 これから買い物があるという遊戯とファーストフード店の前で別れ、それからずっとこんな調子だ。帰りに寄ると言っていた一〇〇円ショップも行かず、おぼつかない足取りで沈黙のまま帰路についた。夕方と夜のちょうど中間の時間帯に帰宅して、獏良はソファでなくその足元、フローリングの上にぺたりと座ってソファの足を背もたれにしている。バクラはしばらくほうって置いたのだけれど、次第にもやもやとしてきて一言ばかり、飯どうすんだよと問いかけてみた。それすらいらない、の一言で、やりづらいったらない。
 バクラ自身は空腹もいいところだった――この無駄にしっかりした肉体を動かすには多分な栄養が必要らしい――ので、自ら運んだ買い物袋からカップラーメンを拝借して勝手に食べた。一杯では微妙に足りなかったのでもう一つの違う味の方にも湯を入れて、ただいまキッチン脇で啜っている状態だ。
 ずるずると音を立てて麺をかき込みながら、横目で獏良をちらりと伺う。クッションを抱え、体育すわりで消沈した横顔は落ち込んでいるというより考え込んでいるように見えた。たまにクッションの端をかじかじと噛んで、もの言いたげに唇が動く。
(ああ、)
 本当に面倒臭い。
 箸を口に咥えて、バクラはがしがしと後ろ頭を掻いた。
「何腐ってんだよ」
「別に」
 沈黙が返されるかと思いきや、きちんと返事がかえされた。返事というにはぞんざい過ぎるけれど、一応、対応する気はあるらしい。
「別に、なんでもないんだけど」
 はあ。
 溜息をついた、獏良の額がクッションに埋まっていく。
 なんでもないと言われてしまっては、その先に進むこともできない。はっきりしない空気で満ちた居心地の悪い空間を、バクラはどすどすと荒々しい足音を立てて進んだ。距離にして五歩分ほど離れた場所で立ち食いをしたまま、まっしろな頭のてっぺんを見下ろし、また麺を啜る。
 しばらくの静寂。
 それから、獏良がクッションから顔を上げないままぽつりと呟いた。
「…幸せって、何だろうね」
「あァ?」
 咀嚼していて聞こえなかった。ごくりと嚥下してから、バクラは問い返す。
「何だって?」
「遊戯くんが、幸せになってね。って」
 ああ、確かにそんなことを言っていた。バクラが出るに出られずダストボックスの前で立ち往生して、ゴミを片づける店員に失礼しますと言われてしぶしぶ席に戻る少し前のことだ。
 その時、獏良は戸惑ったような顔でバクラを見上げていた。もの言いたげな唇が少し開いて、結局何も言わなかったのだけれど。
 きっと獏良は帰り道から今までずっと、その意味を考えていたのだろう。食事も気乗りせずに長いこと、彼にしてはえらく真剣に、幸せというもののことを。
 そうして結局よくわからなくて、バクラに問いかけたのだ。
「幸せって、何だろ」
「…さあな」
 知らねえよ、と言いそうだったところを押し留め、バクラは曖昧に返した。幸せだなんてそんなこと、自分自身考えたこともない。
 思考六十秒。その間にスープを一口。
 思いついたのは子供でも分かるような、単純な回答だった。
「てめえのいいようにするのが幸せとかいうやつじゃねえの?」
 はぐらかすことなら幾らでも出来た。それでも、たった六十秒でも考えて答えを出してやったのだから褒めていただきたい。という追加の言葉は飲み込んだ上で言ってやると、獏良はクッションに埋まった頭を少し傾げて、小さく唸った。
「…毎日シュークリーム十個」
「そう来たか」
「てきとうにだらだらして、ゲームして」
「それで?」
「お前がいる」
「もう出来てんじゃねえか」
 呆れて嘆息。すると、獏良は僅かに温度を上げた声で、そうかも、と呟いた。
 その答え方が余りにも素直なのに驚いた。いつもだったら何がしかかわいくない言葉を一つ二つつけて文句を誘うというのに。いざ率直に返されるとこちらが何と切り返したらいいのか分からない。
 何か言おうとして口を開く、が、その口には残りの麺とスープを流し込むことになった。よく噛みも味わいもせずただ飲み下してしまうともう、することがない。
 結局、買い物袋が散乱するローテーブルにカップラーメンの残骸を捨ててから、ソファにどすりと音を立てて座ってやることにした。
 座面に座ったバクラの膝に、クッションを抱えたまま傾斜してきた獏良の頭がこつりとぶつかる。驚いて視線を降ろすと、青い眼がクッションの隙間からじっとバクラを見上げていた。曖昧な温度の、温い視線で。
 不意に、どうかしてやりたい衝動が込み上げた。具体的に何をしてやりたいのかはバクラにも不明だ。ただ接触の欲求は膨れ上がって、赴くままに右手が持ち上がる。だがどうやって触れるべきなのかも、ついでに言えばどう触れたいのかも考えの外側にして既知の外でもあった。咄嗟に目についたのは頭で、気に入りの長い白い髪で、だからといって昔こっそりやったように髪を弄ることは不可能だ。相手は眠っていない。
 挙動不審を悟られたくないが故に視線を逸らすと、獏良の方がますます身体を寄せてきた。やおらすんすんと鼻をうごめかせて、言う。
「にんにくくさい」
「…にんにく醤油味食ったからだろ」
「歯磨いてきてよ」
「面倒くせえ」
「キスしたいから、磨いてきて」
 いますぐ。
 これほどまでに、真っ向から顔を合わせていなくてよかったと思ったことはない。自分でも分かる、今全身が一瞬引きつった。
 せめて目だけでそっと伺うと、獏良は先ほどとは違う、ふて腐れたような強請るような青い両目をクッションから覗かせていた。
 本日二回目、視線から逃れるように背中を向けて部屋を出る。言われたとおりに洗面所で歯ブラシを口に突っ込んでいる自分は何だ、馬鹿じゃないのか。わりと本気で真剣に、バクラは己のあり方について疑問を抱いた。
 何がそうさせたのか、いきなりのお誘いは脈絡もない。そして、それに乗ってまるでいそいそと歯を磨いているかに見えてしまう自分の滑稽さといったらない。これでは自分自身が接吻したがっているようではないか。いや違うそんなことは考えていない。そう思っても、朝味わった薄く小さな唇の感触を、身体は思い出している。思い出して、分かりやすく盛り上がっている。何なんだこの身体はオレ様こんなにバカ単純だったか、と、はるかかなた昔の自身を思い切り調教してやりたい気分になった。決戦のあの時目にした獣のような過去の姿、あれがそのままこの身かと思うとちょっと自決したくなってくる。
 憂鬱な気分のまま口をすすぎ、パーカーの袖で拭いながらリビングへと戻る。獏良はクッションを床に放り出して、三人掛けのソファを横向きに占領する形でうつぶせに寝転がっていた。
 居場所がなく、先ほど獏良がそうしていたように床に座る羽目になる。冷たいはずのフローリングは獏良の体温を吸って暖かかった。まるで視線そのままの人肌に、妙な気分になる。
「おら、望みどおりにしてきてやったぜ」
 するのかしねえのか。
 わざとぞんざいな口調で投げかけてやると、うつ伏せた獏良の顔がゆるゆるとこちらを向いた。尖らせた口はまるで接吻けを強請る形で、それがまた似合うからよくない。かといってこちらからしてやるのは癪だ、と背中を向け胡坐をかいていたまま首だけで顔を向けてやると、生白い腕がにゅうと伸びてきて肩に絡みついてきた。バクラの身体をアンカーにして上半身を引き上げ、顔が近づく。そのまま、触れる。
 とろけるような、と表現するほど柔らかいわけではない。それでも十分に官能を擽る感触と味がバクラの神経を撫でた。先ほどクッションを食んでいたせいか具合よく湿っている。境目が分からなくなるほど、まるで凹凸を重ねたようにしっくりくるキスは、いつになく深い。窺うまでもなく開いた合わせ目から舌先が差し出され、バクラの歯列をつつくのだから驚いた。ひるんだ隙に口腔にまで忍び込んで、厚い舌に挨拶してくる。目の前ではこれも珍しく、目を伏せた獏良の顔がぼやける視界でもはっきりと認識できた。長い睫の先まで、だ。
「んぅ、う、く、」
 苦しげな吐息と一緒に、髪が揺れる。捻った首の痛みを忘れるほどの、熱烈な口接だった。呆けていたのは一瞬で、主導権を握られてなるものかとバクラはすばやく舌を捕らえた。つかまって、どこか安心したように腕の力が抜ける。それからはいつもどおりに、先と先と合わせて吸いあう、快感を引きずり出すためのそれに変わった。
「っ、随分積極的じゃねえか、宿主サマ?」
 呼吸のためにあけた隙間で、そういってやる。皮肉のつもりで吐いた言葉に、獏良はそうだね、と捻りもなく答えた。
「そういう気分の時もあるんだよ」
 こう返されると逆に困る。先ほどと同様、素直なレスポンスほど厄介なものはない――ああいえばこういう切り返しを今まで面倒だと思っていたが、訂正だ。分かりづらい理屈をこねくり回された方がまだましだった。せめてこの内心がばれないよう、続けて口を開くしかない。
「毎回そうならいいんだがな」
「お前ががっつくからボクはしたがらなくていいの」
「は、そんじゃあオレ様が手出さなきゃ宿主サマ自らお誘い頂けるってのか?」
「…少なくとも今は、ね」
 言って、不意に目が細く開く。
「すごい、したい」
 幸せ噛み締めたいの、と、濡れた唇は甘く開いてそう言った。
 絶句する前に手が動く。腕を剥がしざまに持ち上げた身体で、バクラは中途半端にうつ伏せた獏良の上に乗りあがっていた。
 二人ぶんの体重を受け止めるには些か狭いソファがぎちりと撓る。クリーム色のワッフル生地の座面にばらばらと散らばる長い髪ごと肩口に噛み付くと、獏良が、あ、と高い声を上げて仰け反った。
 知ったことか、煽った方が悪い――直線真っ向からのお誘いに、みっともなく乗せられている自覚はあれど抗うだけの材料にはならなかった。ソファの縁に膝をのせて、細い半身を座面に縫い付けるつもりで噛み付く。抗わない身体がひくんと跳ねて、そうして驚いたことに自ら触れやすいよう背もたれに背中を向けて横向きになった。座面に押し付けた頬が少し持ち上がって、笑う。
「な、」
(何だってんだ)
 呻き声の最初だけが漏れて、残りは飲み込んだ。渦巻いた長い髪の上で持ち上がった頬はあの温い微笑みを浮かべて、バクラを迎えるように胸が開かれていた。
 すごくしたい、という言葉のままに何もかもが晒されて――それこそ内心や本音やらそんなものまで丸出しにされたような気分になる。手を伸ばすのも躊躇うくらいに。
「どうしたの?」
 しないの、と問われてはっとする。その間にも手が伸びて、こともあろうにバクラの腰あたり、ジーンズのボタンを外そうとしていた。ここまでされたことは絶対誓って今まで一度すらない。させようとしたことはあるが全て失敗に終わっている。それが積極的極まる動きで、冷たい指でもってボタンを外してジッパーを降ろしている――天変地異でも起きるのではないか。そんな心配までしたくなるというものだった。
 蝉の鳴くような音と共に、圧迫された腰周りが楽になる。その先どうするのかひょっとして手淫でもしてくれるのかと放って置いたら、手はパーカーの裾を本日三度目、引っ張った。
「まさか、したくないとか言わないよね」
 ボクがこんなにしたいのに。
 上目遣いに恨めしげな眼で睨まれる。どうやら自主的なサービスはここまでのようだ。それでも珍しい行為にバクラはふんと鼻を鳴らして笑ってみせた。答えは言わぬが花というものだ。
 返事の代わりに同じ仕返しをしてやる。細い腰を無粋に覆うジーンズを、こちらは手馴れた動きで引き剥いでやった。心の部屋にいる時からの慣れで脱がすのはお手の物だ。片足を抜いてその間に手を滑らせてやると、わかりやすいことにもう緩く反応していた。
「本当にどうしたってんだ? まだ何もしてねえんだぜ」
「キスは、した…」
「それでコレかよ、初日よりひでえな」
 帰ってきた日は軽く胸やら弄ってやっただけで硬くしていたが、今日はその上を行っている。最早理由もなくするようになったキスひとつで、性的なものをあまり想起させないほど色の薄い性器が勃ちあがっているのだ。感触だけでなく視覚でも確かめると、絡みついた視線にぴくんと反応した。
「…なんで見るの」
 ぐっと顎を引いて、獏良が言う。そのくせ足を閉じようとはしない――随分といやらしい気分になっていらっしゃる、と、バクラは愉しげな予感に唇を舐めた。
「宿主サマは見られんのがお好きだからな、風呂場ン時だっててめえで擦ってんの見ててやったじゃねえか」
「あれは痛かったから仕方なくだよ」
「じゃあ今回も痛くするか」
「丁寧にする約束、忘れてない?」
 不意に機嫌の悪くなった視線で一蹴。調子に乗るとうまくいかないようだ。しかし、丁寧とは一体何ぞや。そんな行為をしたことも心がけたこともないので、よく分からない。得意の嘘で甘ったるい言葉でも吐けば満足いただけるのだろうか? 昔ならまでだしも、今道化を演じても楽しくなさそうなので気乗りしない。それにはたしてこの単純明快な肉体が、きちんと思惑通りに嘘を演じてくれるのか。
 眉間に皺を寄せて黙ると、目の前にすっと白い指が現れた。人差し指が動いて、バクラの肩の向こうを指差している。そこにはローテーブルがあり、バクラがちらかしたカップラーメンの残骸の脇に紙袋が二つ置かれていた。何が入っているのかも知らずに持たされた、あの忌まわしき買い物袋である。
「左、かな。たぶん奥の方」
 指示だけ出されて、何かを取り出せという要求だと判断する。唐突な行動にますます眉間を寄せながら、バクラは一度ソファを降り、言われたとおりに紙袋に手を伸ばした。きちんと収納して容量を増やすという意思が根絶した、買ったままに放り込まれた袋の中身は、カオスという呼び方が相応しい。ぽいぽいと中身をフローリングに散らかしていくと、それ、と、獏良の声が手の中のかたまりを呼び止めた。薬局のロゴが印刷されたクラフト用紙のそれには、中身のかたちに張って四角い。
「開けて」
 ぽとんと手を落として、獏良は言う。
 中身は薄型のコンドームと、掌サイズのローションだった。
「…何時の間にこんなもん買った」
「お前がスーパー入りたくないってだだこねてた時」
 言われて思い当たる。休日の大型スーパーは人が多く、買い物も終盤で大分疲れていたため入口で待っていたのだ。ちょっと目を離している隙に、ちゃっかり購入していたらしい。
「必要でしょ? 痛いのやだよ」
 平然と仰る。
 普通、高校生くらいの若者はこういうものを購入するのに羞恥心とかいろいろが混ざってとてもやりにくいものではないのか――いや、獏良なら気にしないに違いない。いつもの顔つきで堂々と、ゴムとローションをレジに出す姿を難なく想像できた。まさか店員も、使うのではなく使わせるものだとは思いもしないだろう。もしかしたら女と間違えてふしだらな、とか思っていたかもしれない。
 どうでもいいことを一〇行分くらい考えてから、バクラはローションをパッケージごと捻った。つまり丁寧というのはこういうことか。と納得しているうちにばきりと音がして蓋が開き、無色透明の液体が重たく揺れる。できれば使用したくない避妊具の箱は、それとなく向こうの方に捨てておいた。
「おら、とっとと足開け」
 面倒この上ないが、リクエストにお答えするとしよう。全く不本意極まりないが、期待と温さを等分した眼は悪くない。開けと命じて大人しく従うのも新鮮だ。
獏良はゆるゆるした動きで背もたれの上の部分に足裏を乗せて、惜しげなく下肢を晒してみせた。素直さに自分で驚いているのか意外なのか、斜め下に向けた視線は羞恥にも似た色が混じっていて、ごくり。不覚にも喉が鳴った。
 ソファ上には戻らず、フローリングに膝をついたまま身体を乗り出す。傾けたボトルから粘度の高い液体が零れ、バクラの掌と獏良の白い腹にぱたぱたと零れた。冷たさにぶるりと肩が震えている。
「ん、」
 濡れた掌でべたり、と腿を掴む。すぐに体温を吸って人肌に温度を変えたそれで、ぬるりと性器を辿ってやった。
「あ…」
 背もたれに乗せた爪先が伸びる。おもしろいほど従順に、触れたとおりに反応が返る――これはこれで、面白い。
「ぁう、ん、んっ」
 一種滑稽に見える姿勢で、獏良ははくはくと息を乱しながら悶えた。リビングの白い明かりの下で、隠すもののない下半身は奥まった場所まですっかり晒されている。フローリングに座ったバクラの視線は低く、ちょうど白い腹がひくつくのが目の前だ。少し顔を下げると、あからさまな部分に鼻先が届いてしまう。その距離もまた、刺激のひとつになっているらしい。
「ちか、近い」
「乗ったらお望みの『丁寧』はできねえぞ。いいのか」
「や、だ」
 でも見るな、と、目が訴えるので、更に接近。数センチの距離でぬるぬると性器を擦り上げてやる。
「いき、当たる、っ くすぐったい」
 そんなものにまで反応するほど敏感なのか。視線を横にずらすと半目になった青い瞳がとろんと溶けてバクラを見ていた。先ほどは半分程度だった期待が八割くらいまで嵩を上げている。何を望んでいるのか、察せないほど無神経なバクラではない。
 摩擦係数を上げる無色透明を眺めて、これは果たして口にしていいものだったかと思案。まあだめだったところで死にはしないと判断してから、バクラは意味ありげに口元を持ち上げた。
「何かして欲しいことがあるんじゃねえの、宿主サマ」
 ココに。
 と、指の先を根元から先まで一往復。ううと唸った唇が苦しげに震えるのはなかなかの見ものだ。視覚的に大変よろしい。
 バクラの問いに獏良は恨めしげな表情を――わかってるくせに、とその目が訴えている――浮かべ、そうして唇を小さく開いた。
「……して」
「あん?」
 もそもそと歯切れの悪い声での訴えは、バクラの腰を上げさせるには少しばかり不十分だった。もっとこう、からかってやりたい。いつも絶対に言わないような言葉を引き出してやりたい。意地の悪い思考でもって、聞こえなかった振りをする。
「聞こえねえな」
「……くちで、して」